新着情報
2019年4月 岐阜保健大学開学
岐阜保健大学において新しい看護の在り方を創造します
学長メッセージ
岐阜保健大学 学長 河田美紀
博士(医学)。岐阜大学大学院医学研究科内科系専攻修了。
2007年より岐阜保健短期大学教授、2017年より岐阜保健短期大学
学長。日本呼吸学会呼吸器専門医。
地域保健医療を担える人材をカタチにする岐阜保健大学
学校法人豊田学園「岐阜保健大学」は「命と向き合う心、知識、技を持った地域医療に貢献できる医療人の養成」を建学の精神として、地域の保健医療や福祉のニーズに貢献しうる人材の育成に約40年間に渡り、取り組んできております。岐阜保健大学に集う学生、教員、職員、本学に関わりのあるすべての人々が、進展する高齢化社会の要望に応えるため、知恵を開き合い、手を携えて諸課題の解決に取り組んでいくことを目指します。
アクティブな知を獲得する質の高い教育
地域のヘルスケアサービスのコンシューマーである地域住民に対する支援、他職種との連携強化、看護の判断力など、看護職者に求められるニーズに対応できる基礎的能力を育みアクティブな知を獲得できるよう支援します。完結型の地域医療の推進のためには、看護実践力の獲得が必須であり、学びの統合の体系化には、大学の基礎看護教育の中で実践的な教育の環境整備が必要である。看護実践力を強化するアクティブラーニングを重視した教育、本学に新設するシミュレーションセンターを利用した実践的な演習教育、岐阜保健大学研究センターの設置により、基礎看護教育の中において、ヒューマンケアの実践の中で日常的にふれあい、語り合いのできる教育環境を行います。
人間力・ケアスピリット・多職種連携の実践教育
ディプロマポリシー
本学部では、必要な単位を修得し、次の能力を有すると認められた者に、学士(看護学)の学位を授与する。
1. 人間力
人間性豊かで温かく、人間に対する深い畏敬の念を持ち、多様な人々の生活・文化を尊重し、周囲の人々とコミュニケーションを通して理解し合い、協働することができる。
2. ケア・スピリット
良質で安全なケアの提供を通じて、あらゆる発達段階、健康レベル、生活の場にある人々の健康で幸福な生活の実現に貢献できる。
3. 人間の実践的理解
多様な人々の看護に必要かつ十分な知識を身に付け、個人、家族、集団、地域について幅広く理解できる。
4. プロフェッショナリズム
看護ケアに必要となる専門的知識と技術を備え、人々の尊厳を擁護する看護実践に活かすことができる。
5. 多職種連携・チームワーク
看護対象者や保健・医療・福祉や生活に関わる全ての人々と連携し協働できる。
看護学部長メッセージ
岐阜保健大学 看護学部長 臼井キミカ
大阪府立大学大学院社会福祉学研究科後期課程単位取得満期退学。
専門は老年看護学。高齢者虐待の予防・介入や、認知症高齢者の
看護の質の向上に関する研究をテーマとしている。
体験から学んだ看護とは
私が看護師として初めて勤務したのは小児外科病棟でした。そのできごとは冬の中でも最も寒い時期の2月、勤務2年目のことでした。その赤ちゃんは先天性食道閉鎖症で、唾液や母乳が気管に流れ込まないために食道と胃をつなぐ難易度の高い手術が必要で、分娩室から直ちに手術室に運ばれました。手術は昼間の時間では終わらず、深夜2時過ぎに終了しました。私は深夜零時からの勤務で、手術を終えた赤ちゃんを迎えるために保育器等を準備してその時を待っていました。赤ちゃんと一緒に病棟に現れたのは麻酔科部長であり、疲労困懲した姿から深刻な事態であることを察しました。部長から術中の経過を聞き、観察を始めましたが、1時間も経過しないうちに呼吸等のトラブルが発生し、当直外科医に対応を依頼しました。しかし空が白みかけた頃には幼い命は天に召されてしまいました。
赤ちゃんの祖父から真新しいベビードレスを預かり、温もりが微かに残った柔らかい肌に丁寧に衣類を着せ終わった時に、淡い色彩の毛糸で編まれた小さな靴下が目に留まりました。履かせなくてはという思いと共に私の頭をよぎったのは、小児看護学で学んだ師長さんの言葉でした。「新生児は長下着で十分に覆われているため靴下は必要ありません。足裏で様々な感覚を感じるにはむしろ履かせない方がよいのです」。でも、この赤ちゃんのために準備されたのだから...と、しばらく考えましたが、私の判断は師長さんの言葉にしたがっていました。長いドレスの裾で足を包み込み、おくるみの中に寝かせました。そして霊安室に案内する前の時間を大切にしていただきたいと私は席を外しましたが、小一時間ほどしてから目にしたのは、「おう、おう、寒かったろうに...」と涙を流しながら慣れない手つきであの靴下を履かせているおじいさんの姿でした。
私は、自分の判断が誤っていたこと、家族の気持ちに寄り添えなかったことを恥じ、ふがいなさで全身真っ赤になりました。自分の未熟さに直面し、心底消え入りたいと思いましたし、技術力や知識では誰にも負けないという私の傲りの気持ちがそうさせたのだと反省しました。それを契機に相手の立場に思いを馳せることのできる看護師になりたい、病や障害を持った人の声なき声に真摯に耳を傾けることのできる看護師になりたいと思いました。
悲しみや苦しみ・痛みは他者が替わることはできませんが、その気持ちを少しでも分かち合えるように努力することはできると思い、今に至っています。
岐阜保健大学が育てたいと思うのは、看護専門職としての知識や技術は勿論のことですが、何よりも相手の立場に立って考えようとする姿勢を持った看護師です。
そして、人の役に立ちたいと願うあなたの夢を実現するために、その基盤となる理論や態度の育成を責任をもって支援します。さらに、地元である岐阜の歴史や文化を知り、岐阜の医療保健福祉の充実に貢献できる力を持った人材育成を目指します。